著者買い 読書感想「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」

3月 4th, 2010 admin

めずらしく自分で選んで買った本。しかも発売日も3ヶ月前ぐらいのわりと新しい本です。著者はハックルベリーに会いに行くというブログを書いている人で、一部のネットでは”ガツンの人”ということで知られている岩崎夏海さんである。ブログを読んでいる限り全然自分とは合わない感じなのですが、面白そうな人であることは確かなのでいったいどんな本を書かれたのかと気になって買いました。

あらすじ

部活動におけるrマネージャーの仕事を勉強しようとして間違えてピーター・ドラッカーの「マネジメント」を買ってしまった野球部のマネージャーが、本の内容を実践することで部員や友人と共にマネジメントについて学び、学校や地域全体をも巻き込みながら弱小野球部を甲子園と導く奇跡の青春ストーリー

感想

ドラッカーの「マネジメント」に興味をもつためには入門書としてとても良い本だと思いました。実際僕も読んだことがないので、とても読みたくなりました。
途中途中で「マネジメント」の引用が登場するのですが、どれもとても説得力がある言葉ばかりで、これは神様が書いた本なのでは無いかと思わされる程です。僕が特に印象に残ったのは以下の部分
P.175

あらゆる組織が、事なかれ主義の誘惑にさらされる。だが組織の健全さとは、高度の基準の要求である。自己目標管理が必要とされるのも、高度の基準が必要だからである。
成果とは何かを理解しなければならない。成果とは百発百中のことではない。百発百中は曲芸である。成果とは長期のものである。すなわち、まちがいや失敗をしない者を信用してはならないということである。それは、見せかけか、無難なこと、下らないことにしか手をつけない者である。成果とは打率である。弱味が無いことを評価してはならない。そのようなことでは、意欲を失わせ、士気を損なう。人は、優れている
ほど多くのまちがいをおかす。優れているほど新しいことを試みる。(一四五〜一四六)

”成果とは打率である”ってのが気に入りました。他にもマネジメントでの名言がまとめて紹介されているサイトがあるので興味がある人はみてみると面白いと思います。(たとえばここ

ストーリーは普通だった

設定は面白いのですが、内容的にはライトノベルの分類でとても読みやすくなっている半面、物足りなさもありました。特に後半になると著者も疲れてきたのかライト化が激しくなり、単調でリズムが悪く、読むのが苦痛になっていきます。

でもよかった

いまになってストーリーが下らなかったことに腹がたってきましたが、それでもこの本の使命はピータードラッカー「マネジメント」に興味をもたせるということなので、これぐらい読みやすい内容の方がいいのでしょう。実際、僕も読みたくなったしこの本が読みにくい本であれば入門書の意味がありません。(追記:やはりラノベを意識してかいたとこのことでした 詳しくはこちら

まとめ

・都合のよすぎるストーリーに腹が立つ(とくに夕紀の設定)
・マネジメント入門という意味ではすばらしい(哲学入門におけるソフィーの世界みたいな感じ?)
・ノーバント・ノーボール作戦って実際通用するの?
・表紙が恥ずかしくて買いにくい

★★☆☆☆

野武士の生き方 読書感想「孤独のグルメ」

3月 1st, 2010 admin

孤独のグルメ 【新装版】
久住 昌之
扶桑社

今更ながら読みました。CSNagoyaのメンバーに面白い漫画はないかと聞いたらでてきた本です。昨年の年末に聞いてから漫画喫茶などで探していたのですが無いはずですね。全18話で完結のお話でした。

あらすじ

雑貨の輸入業を営む主人公の井之頭五郎が、「しかし腹減ったなー」といいながら、一人で適当に店に入って感動したりアームロックしたりする話。

感想

まず、とても珍しいタイプの漫画だなと思いました。事件らしい事件が起こるわけでもなく、全体を通してストーリーがあるわけでもない。ただただ主人公が近所の定食屋や、学生のころに行った店、出張先のたこ焼き屋などにいって「うまいうまい!」とか「ちょっと違うなー」とかっていうだけ。

じゃあなにが面白いかっていうと、主人公のような中年男性の孤独がリアルに(リアルってつかいたくないんだけど)表現されているというところだと思う。

顔立ちがよく、独身で高級輸入雑貨業を営み、まあまあお金もあって車もVOLVOに乗っている。そんなハードボイルドな主人公。これが普通のグルメ漫画だったら主人公はすごい食通で、料理もできたり、高級なワインなんかにも詳しかったりして、ひとたび不味い物を食べさせられれば
「ふん、こんなものは食えたもんじゃない。明日同じ場所で私と勝負だ」
なんてことにもなるのかもしれないが、この主人公は全然違う。気弱!

たとえば、飯屋を探してアーケードを歩いていると、結局優柔不断なので店を決められずにアーケードの端から端まであるいてしまう。
P.9

ああ・・・なさけない
どこにも入れずに何をやっているんだ
引き返すか・・・いやいや
同じ顔がウロウロしていたらヘンに見られる・・・

そしてやっと定食屋にはいって注文しても、以下のような調子
P.11

注文してしまうと
少し気が楽になり
店内を見渡すゆとりが
でてきた

しかもあわてて注文したせいでトン汁と豚肉炒めを注文してしまい豚肉がかぶったことを後悔している。全然かっこよくない
エピソードとしては主人公が始めて行く店に入る話が多いのですが、気弱な男が初めて行く店に入って感じることがとても細かく描写されています。

他にも新幹線でシューマイを食べたけど周りがシューマイ臭くなるのが気になって味わえないだとか、タコヤキ屋にいったけど常連客となじめなくて”おいしい”の一言も言えなくなる話など、気弱な男なら1度ならず何度も経験したことのあるエピソードばかり。

”ライ麦畑でつかまえて”や”人間失格”、”桜の木下には…”なんかを読むと、よくもまあ大人が思春期の男の子の気持ちをまとめて文章にしたなーなんて思うけど、そんな感じでよくこの作者は気弱な男の心理を上手にまとめたなと思いました。僕みたいな弱虫は僕だけじゃないんだと勇気付けられます。

あまりにも共感できたで、ここまでが長くなってしまいましたが、もちろん他にもこの漫画の魅力はあります。僕が特に好きなのは第11話の最終ページで若いお母さんのお尻をみて~電車でねてしまうところ、第13話の最終ページでカレーを食べることで応援に一気に熱が入るところなんかでしょうか。ストーリーも面白いのでしょうが、漫画のコマの使い方として途中途中で主人公が無意識のうちに見た景色を入れてくるのがとてもうまいので、単におっさんが飯を食べる話ではなくしてくれています。

まとめ

食べログを捨て、知らない店に一人で行ってみたい気持ちになった

★★★★★(満点)