笑って済ませられない一冊 読書感想「予想どおりに不合理」

5月 12th, 2009 admin

予想どおりに不合理―行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」
ダン アリエリー Dan Ariely
早川書房
売り上げランキング: 455

この本はなぜ僕らが理にかなった行動でなく(合理的)、理にかなわない行動(不合理)をしてしまうことがあるのかという話を実例とたくさんの実験によって知らせてくれる本だ。

例えば本書で紹介されている不合理はこんな感じだ、
・1セントのアスピリンより50セントのアスピリンの方が効く
・いらない物でも無料だと沢山もらってしまう
・ダイエットをしたいと心底思っていてもケーキのカートが目の前にくると忘れてしまう

笑い話では済まない不合理

僕がおもしろいなと本書を読みながらも段々と顔がこわばったのは「第8章 扉を開けておく」からだ。この章では人が沢山ある選択肢の中から物を選ぶときに、つねに選択肢を残しておくように行動し、選択肢を残すことに必死になってしまい肝心の選択に力を注げないという話がされる。(二兎追う者は一兎も得ずとかそんな感じ)
この話は恐い。まさに僕が陥っている罠だと思った。選択肢を残し、数少ないリソースを分散してしまうことで、どれだけ得られたはずのものが得られていないかだなんて今さら考えたくない。

また「第9章 予測の効果」も恐い。ここでは「老人」を連想させる単語の国語のテストを受けた学生は帰り道のスピードが遅いというのがあった。環境が人を育てるというが、まさかそんな簡単に影響するほど人間が単純だとは思っていなかった。

そして第11章、12章に至っては目を背けたくなるし、僕の場合はうしろめたくて世みたくなくなった程だ。

まとめ

本書はとても面白い、そしておもしろいだけでなく僕等がどれほど不合理かということに気がつかせてくれる。自分で読んでよかったと思うし、身近な人にも是非読んでもらいたいなと思う一冊でした。

・実験に次ぐ実験がすごい
・不合理に対する対抗案がなぜか毎回陳腐

★★★★★(満点)

サイバーパンクの金字塔 読書感想「ニューロマンサー」

5月 7th, 2009 admin

ニューロマンサー (ハヤカワ文庫SF)
ウィリアム ギブスン ウィリアム・ギブスン
早川書房
売り上げランキング: 9892

SFを読んでいるといっていたらocchii105さんが貸してくれた本。有難う御座いました。

映画マトリックスにアイデアのモトとなる漫画があったという話を聞いたことがあるというのを聞いた人は多いと思う、甲殻機動隊のことだ。だけど甲殻機動隊のアイデアのモトまで知っているという人は多くはないんじゃないでしょうか。電脳空間(サイバースペース)、ジャックイン、AI・・などの今となっては当たり前となったサイバーパンクの世界観を作ったのが本作品「ニューロマンサー」なのだ

4回読み直した

この小説は普通の小説より難しい(僕にとって)
・1人物が複数の名前で呼ばれる(ディクシー=フラットライン、構造物、ポーリーとか)
・何の名前なのかわからない用語がでてくる(ヴィラ・ストレイライト、スピンドル、3ジェインとか)
・同じ登場人物なのに中身が違う場合がある(リンダやフィン、アーミテジ)
・電脳空間にいるのか、現実世界にいるのかわからないときがある

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というわけで、4回ぐらい前半を読み直してからはメモを取ることにし、A4サイズビッシリに人物相関図を書くことになった。

まとめ

SFを語る上で欠かせない小説である本作品。わかりにくいために何度も読み返したのがよけいによかったかもしれない。面白かった。影響を受けた作品が沢山あるために、主役の三人はマトリックスの三人に、千葉シティは甲殻機動隊の街並みに脳内補完して楽しんだ。

しかしこれを書いた人も凄いけど、1984年のインターネットがないどころか初代ファミコンがやっと発売されたころに読んで理解した人たちも凄い。しかも小説なので文字だけで理解したなんて・・・映画マトリックスをみて理解できなかった人がどれだけ多かったかということを思うと、当時この作品が出回った時のインパクトはどんなもんなんだったろうと想像したくなる。

25年の時を経ても色褪せない傑作。最後のオチもなかなか素敵。おすすめです。

★★★★☆