4月 19th, 2009 admin 
パトリック・ロスファス
白夜書房
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僕がハリーポッターを読み終わり、ゲド戦記を読んだりしているという話をしていたらid:YasuyukiMiuraさんが貸してくれた本。クィル賞、アマゾン・ドットコム「Best Books of 2007」などを受賞しており、ハリーポッター後の10年を背負うのはこのシリーズだなどと言われている注目の作品。
あらすじ
おとぎ話の存在と思われていた、青い炎の殺人集団チャンドリアンに旅芸人の両親を殺されたクォート。復讐のため、そして自らの生き残りをかけ、彼は風の名前を呼ぶ秘術を学びに大学に赴くが―田舎宿屋の亭主に身をやつした伝説の英雄が語り起こす、壮大な物語の序章。綿密な世界観と複雑な人間造形に裏打ちされた、子供だましでない大人のためのファンタジー、ここに始まる。
感想
面白くて一気に読んでしまった。最初は表紙に描かれた主人公がイケメンすぎて感情移入ができなかったが、最初の眠たい50ページをすぎると毎度のごとくファンタジーの世界にどっぷりと首まで浸かっていた。中世ヨーロッパをベースにした世界には、意地悪な領主がおり、貧乏でよそ者を嫌う村人がいる。村には石造りの小さなパブ兼宿屋があり、踊り子に異国の音楽、ビールにぶどう酒、干し肉に大麦パンが振舞われる。子供たちは伝説の英雄の歌をうたい、ドラゴンを見たとか見なかったとけんかをする。そう、この作品では王道中の王道のファンタジーの世界を体験できる。
僕が特に面白かったのは主人公の恋愛描写の部分。ハリーポッターやゲド戦記は女性が書いた作品。男の気持ちなんてちっともわかっていない!(もちろん女性だからこそハーマイオニーやテナーの成長の描写が素晴らしかったのだけど)
その点、著者が男性の本作は、主人公は成績も優秀で楽器「リュート」の演奏も抜群なのでむかつくことに結構モテるのだが、恋愛に関しては全然うまくこなせない。美人かつお金持ちの女性にハープを教えてといわれてもあまり得意でないからと断ってしまうし、目当ての女の子にキスをするチャンスがあっても
そんなとき、二人の間に目に見えて緊張感が生まれるのを感じた。彼女が流し目をくれて意味ありげな微笑みを浮かべたとき、その首の傾け方、ほとんど向き合うようなやり方に、わたしは彼女が期待しているに違い無いと思わずにいられなかった・・・何かを。腕を回す?キス?どうやってわかるものなんだ?どうやったら確信が持てる?
ってな調子で結局恐くてキスはできないし、この5分後には楽しかったデートで有頂天になって踊り出しそうなぐらいテンションがあがっているのに
眠りについた家や灯りの消えた宿の前を通り、街を抜けて戻る私の心は、短く三つ息をつくうちに上機嫌から心配へと変わった。
すべてを台無しにしてしまった。自分が口にしたあらゆること、そのときは気が利いているように思われたことが、実は愚か者にも言える最低の言葉だった。今も彼女は中で、ようやくわたしを追い払ったと安堵のため息をついているだろう。
これを読んで
「お ま え は 俺 か」
と言いたい男子は少なくないんじゃないだろうか。恋愛上手な主人公というのは少ないが、ここまでリアルだと感情移入せずにはいられない。
まだまだ話は始まったばかり。青い炎を操る恐ろしい敵「チャンドリアン」とはろくに対決もしていないし、古来から伝わる伝説も謎だらけ、第2部の発売が楽しみです
★★★★☆