3月 1st, 2010 admin 
今更ながら読みました。CSNagoyaのメンバーに面白い漫画はないかと聞いたらでてきた本です。昨年の年末に聞いてから漫画喫茶などで探していたのですが無いはずですね。全18話で完結のお話でした。
あらすじ
雑貨の輸入業を営む主人公の井之頭五郎が、「しかし腹減ったなー」といいながら、一人で適当に店に入って感動したりアームロックしたりする話。
感想
まず、とても珍しいタイプの漫画だなと思いました。事件らしい事件が起こるわけでもなく、全体を通してストーリーがあるわけでもない。ただただ主人公が近所の定食屋や、学生のころに行った店、出張先のたこ焼き屋などにいって「うまいうまい!」とか「ちょっと違うなー」とかっていうだけ。
じゃあなにが面白いかっていうと、主人公のような中年男性の孤独がリアルに(リアルってつかいたくないんだけど)表現されているというところだと思う。
顔立ちがよく、独身で高級輸入雑貨業を営み、まあまあお金もあって車もVOLVOに乗っている。そんなハードボイルドな主人公。これが普通のグルメ漫画だったら主人公はすごい食通で、料理もできたり、高級なワインなんかにも詳しかったりして、ひとたび不味い物を食べさせられれば
「ふん、こんなものは食えたもんじゃない。明日同じ場所で私と勝負だ」
なんてことにもなるのかもしれないが、この主人公は全然違う。気弱!
たとえば、飯屋を探してアーケードを歩いていると、結局優柔不断なので店を決められずにアーケードの端から端まであるいてしまう。
P.9
ああ・・・なさけない
どこにも入れずに何をやっているんだ
引き返すか・・・いやいや
同じ顔がウロウロしていたらヘンに見られる・・・
そしてやっと定食屋にはいって注文しても、以下のような調子
P.11
注文してしまうと
少し気が楽になり
店内を見渡すゆとりが
でてきた
しかもあわてて注文したせいでトン汁と豚肉炒めを注文してしまい豚肉がかぶったことを後悔している。全然かっこよくない。
エピソードとしては主人公が始めて行く店に入る話が多いのですが、気弱な男が初めて行く店に入って感じることがとても細かく描写されています。
他にも新幹線でシューマイを食べたけど周りがシューマイ臭くなるのが気になって味わえないだとか、タコヤキ屋にいったけど常連客となじめなくて”おいしい”の一言も言えなくなる話など、気弱な男なら1度ならず何度も経験したことのあるエピソードばかり。
”ライ麦畑でつかまえて”や”人間失格”、”桜の木下には…”なんかを読むと、よくもまあ大人が思春期の男の子の気持ちをまとめて文章にしたなーなんて思うけど、そんな感じでよくこの作者は気弱な男の心理を上手にまとめたなと思いました。僕みたいな弱虫は僕だけじゃないんだと勇気付けられます。
あまりにも共感できたで、ここまでが長くなってしまいましたが、もちろん他にもこの漫画の魅力はあります。僕が特に好きなのは第11話の最終ページで若いお母さんのお尻をみて~電車でねてしまうところ、第13話の最終ページでカレーを食べることで応援に一気に熱が入るところなんかでしょうか。ストーリーも面白いのでしょうが、漫画のコマの使い方として途中途中で主人公が無意識のうちに見た景色を入れてくるのがとてもうまいので、単におっさんが飯を食べる話ではなくしてくれています。
まとめ
食べログを捨て、知らない店に一人で行ってみたい気持ちになった
★★★★★(満点)