想像の種を5つ 読書感想「フリーランチの時代」

6月 30th, 2009 admin

フリーランチの時代 (ハヤカワ文庫JA)
小川 一水
早川書房
売り上げランキング: 84168

「SFが読みたい! 2009年版」でベストSFの1冊に選ばれた本書。dominion525氏よりお借りしました。小川一水さんの5篇が収録されています。

SFってこうじゃなくちゃ

SFのよさってやっぱり
『あんなこっといいな、できたらいいな♪』
と想像を膨らませてくれるのが楽しいですよね。

もしも自分の体が全部別物になったらという表題作の「フリーランチの時代」、自分が考えていると思っているということが本当に考えていると思えているのかどうか不安になる「Live me Me」、宇宙時代のフリーター(ひきこもり?)の生活を描いた「Slowlife in Starship」などは読んだ後にもドキドキして楽しい

スピンオフ作品もあるよ

最後にある「アルワラの潮の音」は小川一水さんの長編小説「時砂の王」のスピンオフ作品だ。メッセンジャーたちのある枝での活躍が楽しめる。

まとめ

どの作品も主人公たちが少しだけ成長するのを眺めることができるようになっている本書。僕が一番面白かったのは「Live me Me」。最後の展開には驚かされると共に、作品を読んでいる自分自身の頭が僕が思っているようにできているのかどうか不安にさせられる。(確かに僕なんてものの振舞は非常に単純なので – 僕が思っているよりも意外という意味で -意外と数個のマクロに置き換えられるかもしれない)

★★★★☆

月は何個だ? 読書感想「1Q84」

6月 11th, 2009 admin

1Q84 BOOK 1
1Q84 BOOK 1
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村上春樹
新潮社
売り上げランキング: 2
1Q84 BOOK 2
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村上春樹
新潮社
売り上げランキング: 3

amazonで予約できなかったので、発売日に本屋にいったら在庫があったもののハードカバーが嫌だなと悩みながら買った一冊。もっとゆっくり読めばよかったと思った。これは凄く贅沢な小説だ。

まずストーリーが凄い。読む合間に合間に「どうやったらこんな物語が思い浮かぶのか」と何度も考えた。例えば、こんな話がある。

死んだ盲目の山羊の口からリトルピープルがでてくる

え??盲目の山羊?リトルピープル?意味がわからない。
もう1行で混乱させられる。
この人はぶっ飛びすぎてて僕にはさっぱりわからない。よくミュージシャンで「あーこの人は薬でもやってるんだろうな」っていう歌詞を書く人がいるけど、村上春樹の発想はそんな違法な薬のレベルを超えている。

また、何人かの登場人物の物語が交差していく過程も凄い。ストーリーはむずかしくないので、交差する場所は事前にわかっているのだけど、気がついたらがっちり交差しちゃってたりして驚いて読み返すことが何度もあった。突き放されたり、引き込まれたり、時間が長くなったり、短くなったりとブンブン振り回されてとてもエキサイティングだった。

これぞ小説。テレビにはもちろん、漫画にもアニメにも映画にも舞台にもできないエンターテイメントを楽しませてくれる。そんな小説でした。本を、文章を、ちびちびゆっくりとウイスキーのように楽しみたい方にオススメしたいです。

★★★★★(満点)

正しいことを正しく行う 読書感想「Eric Sink on the Business of Software 革新的ソフトウェア企業の作り方」

6月 10th, 2009 admin

Eric Sink on the Business of Software 革新的ソフトウェア企業の作り方
Eric Sink エリック・シンク
翔泳社
売り上げランキング: 34922
おすすめ度の平均: 5.0

5 最高のビジネス書、実証された独立独歩の経営術
5 開発者として成功するためのエッセンス集

SourceGear LLC社の創業者であるエリック・シンクの「技術者のための経営本」だ。
言っていることが正しすぎて目を背けたくなるほどの良本

印象に残ったこと

・プログラマと開発者は別。小さな会社に必要なのは開発者
・すごいハッカー != すごい社員
・ライバルのいない市場には需要もない
・価格だけの差別化はほんとうにまずいこと
・実力 = 才能 + 学習 × 時間(コントロールできるのは「学習」だけ)
・あとはただやるだけ

★★★★☆

笑って済ませられない一冊 読書感想「予想どおりに不合理」

5月 12th, 2009 admin

予想どおりに不合理―行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」
ダン アリエリー Dan Ariely
早川書房
売り上げランキング: 455

この本はなぜ僕らが理にかなった行動でなく(合理的)、理にかなわない行動(不合理)をしてしまうことがあるのかという話を実例とたくさんの実験によって知らせてくれる本だ。

例えば本書で紹介されている不合理はこんな感じだ、
・1セントのアスピリンより50セントのアスピリンの方が効く
・いらない物でも無料だと沢山もらってしまう
・ダイエットをしたいと心底思っていてもケーキのカートが目の前にくると忘れてしまう

笑い話では済まない不合理

僕がおもしろいなと本書を読みながらも段々と顔がこわばったのは「第8章 扉を開けておく」からだ。この章では人が沢山ある選択肢の中から物を選ぶときに、つねに選択肢を残しておくように行動し、選択肢を残すことに必死になってしまい肝心の選択に力を注げないという話がされる。(二兎追う者は一兎も得ずとかそんな感じ)
この話は恐い。まさに僕が陥っている罠だと思った。選択肢を残し、数少ないリソースを分散してしまうことで、どれだけ得られたはずのものが得られていないかだなんて今さら考えたくない。

また「第9章 予測の効果」も恐い。ここでは「老人」を連想させる単語の国語のテストを受けた学生は帰り道のスピードが遅いというのがあった。環境が人を育てるというが、まさかそんな簡単に影響するほど人間が単純だとは思っていなかった。

そして第11章、12章に至っては目を背けたくなるし、僕の場合はうしろめたくて世みたくなくなった程だ。

まとめ

本書はとても面白い、そしておもしろいだけでなく僕等がどれほど不合理かということに気がつかせてくれる。自分で読んでよかったと思うし、身近な人にも是非読んでもらいたいなと思う一冊でした。

・実験に次ぐ実験がすごい
・不合理に対する対抗案がなぜか毎回陳腐

★★★★★(満点)

サイバーパンクの金字塔 読書感想「ニューロマンサー」

5月 7th, 2009 admin

ニューロマンサー (ハヤカワ文庫SF)
ウィリアム ギブスン ウィリアム・ギブスン
早川書房
売り上げランキング: 9892

SFを読んでいるといっていたらocchii105さんが貸してくれた本。有難う御座いました。

映画マトリックスにアイデアのモトとなる漫画があったという話を聞いたことがあるというのを聞いた人は多いと思う、甲殻機動隊のことだ。だけど甲殻機動隊のアイデアのモトまで知っているという人は多くはないんじゃないでしょうか。電脳空間(サイバースペース)、ジャックイン、AI・・などの今となっては当たり前となったサイバーパンクの世界観を作ったのが本作品「ニューロマンサー」なのだ

4回読み直した

この小説は普通の小説より難しい(僕にとって)
・1人物が複数の名前で呼ばれる(ディクシー=フラットライン、構造物、ポーリーとか)
・何の名前なのかわからない用語がでてくる(ヴィラ・ストレイライト、スピンドル、3ジェインとか)
・同じ登場人物なのに中身が違う場合がある(リンダやフィン、アーミテジ)
・電脳空間にいるのか、現実世界にいるのかわからないときがある

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というわけで、4回ぐらい前半を読み直してからはメモを取ることにし、A4サイズビッシリに人物相関図を書くことになった。

まとめ

SFを語る上で欠かせない小説である本作品。わかりにくいために何度も読み返したのがよけいによかったかもしれない。面白かった。影響を受けた作品が沢山あるために、主役の三人はマトリックスの三人に、千葉シティは甲殻機動隊の街並みに脳内補完して楽しんだ。

しかしこれを書いた人も凄いけど、1984年のインターネットがないどころか初代ファミコンがやっと発売されたころに読んで理解した人たちも凄い。しかも小説なので文字だけで理解したなんて・・・映画マトリックスをみて理解できなかった人がどれだけ多かったかということを思うと、当時この作品が出回った時のインパクトはどんなもんなんだったろうと想像したくなる。

25年の時を経ても色褪せない傑作。最後のオチもなかなか素敵。おすすめです。

★★★★☆