ジョウント!加速! 読書感想「虎よ!虎よ!」

11月 11th, 2009 admin

人のお薦めを読むシリーズ。今回は複数の作品を貸してもらったうちの一冊。
この虎よ!虎よ!は”超”がつくほど有名な作品なのですが、僕は新装版を借りたので後半まで最近のお話だと思っていました。とにかく現代の作品に影響を残しすぎな恐ろしい作品でした。

あらすじ

時代は人類が人にもともと備わっていたテレポーテーションの能力(ジョウントという)を発見した25世紀。惑星と衛星での戦争が起こるなか、宇宙船「ノーマッド」は物資の輸送中に攻撃を受け漂流してしまう。ノーマッドの乗組員であるガリヴァー・フォイルは絶望的な状況の中、強靭な精神力で救出を待つ。そして奇跡的に近くを宇宙船「ヴォーガ」が来て救助信号に気がつくも、なぜかヴォーガは救助をせず去っていってしまう。
主人公はあきらめて死にたくなる程落胆するが、自分を見捨てたヴォーガに復讐を誓い、その怒りのエネルギーで精神を正常に保ち、なんとか壊れた宇宙船で生還し復讐を開始する。

感想

とにかくいろいろなSF要素が詰まっている。詰め込みすぎだろってぐらい。ジョウントはもちろん、宇宙戦争、新物質に謎の文明、特殊なタトゥーに加速装置。これらのおかげでとても話が賑やかになっている。

そして僕は拒否反応が起きたのだが、主人公がかなり野蛮かつパワフル。
全然いいやつじゃないし、物語自体が
「くそー、俺を助けなかったあいつ絶対ぶっころす」
という動機で進行するのもどうかと思うのだが、そもそも最初は「あいつ」が宇宙船自体に設定されており、まず主人公が宇宙船ヴォーガをぶっ壊しにいくあたりがぶっ飛んでるなと思いました。
最後まで全然いいやつじゃないし

最近はこれ女性が読んだ方が面白んだろうなーというような話を読むことが多かったのですが、これはまさに男性向け、男の子向けの小説でした。
マッチョな主人公が好きな方におススメ

★★★☆☆

本自体が好きか? 読書感想「本の未来をつくる仕事/仕事の未来をつくる本」

10月 20th, 2009 admin

本の未来をつくる仕事/仕事の未来をつくる本
内沼 晋太郎
朝日新聞出版
売り上げランキング: 50677

わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる(以下スゴ本)経由で買った本。僕とスゴ本の相性は非常に悪く、積読の8割はこのスゴ本の紹介で買った本だ。しかし相性が悪いとわかっていても紹介が上手だからつい買ってしまう。スゴ本はすごいブログだ。

概要

ブックプロデューサーという仕事をしている内沼晋太郎さんという人の話。ブックプロデューサーがどんな仕事かと一言で説明するのは難しい。この本を読めばなんとなくわかるのだけど、僕は本の新しい価値に光を当てていくような仕事だなと思いました。
この本はめずらしく、右からも左からも読める構成でつくられている。右から読めば「本の未来を作る仕事」について、左から読めば「仕事の未来をつくる本」の内容だ。

感想

とても面白い、特に「本の未来をつくる仕事」のほうが面白かった。それは僕も本自体を好きな人間の端くれで、人に本を贈ったり、人に勧められた本を好きだからというのもあるかもしれない。でも、そうでないひとも、もし本を読むこと以外に使うという方法が思いつかないなら是非読んでみて欲しい。

たとえば文庫本を紙で包んでしまい、本のなかの印象的な一文だけを包装紙に印刷して販売するというやりかた。本のタイトルもわからなければ著者もわからない。だからこそ先入観なく自分の気に入った表現の文章から本を選び、新しい作家やジャンルに出会うことができる。さらに、引用が印刷されている面の反対には郵便番号を書く欄がある。そう、これは買ったら切手を貼って誰かに贈ることができるのだ。

こんな愉快な本との出会いをいくつも内山さんはプロデュースしている。本を読んでいて僕には彼が手に取った本が微笑んでいるような絵が思い浮かんだ。単に本を買って読むだけではなく、本との出会いを大切にしたり、本を介したコミュニケーションなんかを作ったりする。本が喜ばないわけがない。

そして、個人的に面白いなと思ったのは彼の本への愛はすごいのだけど、本を壊すことも平気でやってしまうことだ。本を刻んだり、表紙だけを使って遊んだりと、「えっ」と思うようなこともやっている。なんだか酷いことをしているように感じるのだけど、それは彼なりの理屈があってやっていることなのだ。

これを読んでいると、自分もなにか行動を起こしたくなってうずうずする。うずうずしたら今度は「仕事の未来をつくる本」を読んでみるといい、なんだか自分にもできそうな気がしてくるから

★★★★☆

馬鹿な男のお手本 読書感想「ジャンプ」

9月 16th, 2009 admin

ジャンプ (光文社文庫)
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佐藤 正午
光文社
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これも友人がmixiで推薦していた作品。馬鹿な男がまじめに馬鹿をするという他人事とは想えないお話。最後まで一気に読んでしまうスピード感もありかなり面白かったです。

あらすじ

ある夜、主人公はつき合って半年の彼女とバーで名前を聞いたことのないカクテルを飲んで泥酔してしまう。ぐでぐでになりながらもなんとか彼女のアパートにたどり着くも、毎朝必ず食べることにしているリンゴを会話すれたことに気がつく。やさしい彼女は5分で戻ってくるとリンゴを買いにいってくれるが、それきり失踪してしまった。
わずかな手がかりをたよりに主人公は彼女の行方を追う

感想

(ややねたばれあり)
最初は「賢い主人公やなー」と思いながら読みはじめるのだけど、だんだんと気がつく。「あれ?こいつなんか勘違いがおおいな」と。そう、この主人公はキザで格好を付けて男らしくしようとしている典型的な「馬鹿な男」。決して学校のお勉強ができないとかそういうことではなく、女心がわからないとか、空気が読めないタイプの馬鹿。最後の最後まで勝手に迷走して見事に自分でとどめを刺します。
特に、彼女のまわりの人間が彼に彼女の行方を黙っているところなど、思い返せば最高の場面だった。主人公は気がつかない。なぜ自分にだけ彼女は居場所を教えないのか、そして周りの人間もなぜ自分に情報をくれないのか。うすうす気がついてもよさそうなものなのに、最後の最後まで彼女の気持ちを”考える”ことばかりにやっきになり、自分自信を見つめない主人公。あーなんだか耳が痛いですね。

最後のオチは少し弱いかなと思いつつも、そこまで読ませるスピードがよかった。まるでドラマ「24」のような感じ。「次々と選択肢がなくなっていく。しかし!最後の望みがまだ一つだけある」の連続。

この小説が面白くないという人がいたら是非どこが面白くなかったか聞いてあげてほしい、なぜならその面白くなかったポイントこそが作者が表現したかった楽しむポイントなのだから

★★★★☆

若い夏 読書感想「MISSING」

9月 16th, 2009 admin

MISSING (双葉文庫)
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本多 孝好
双葉社
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どんな本を読んでいるのか全くわからない友人がmixiでお薦めしていた一冊。「このミステリーがすごい!2000年」で10位にランクインしています。

ちょっと奇妙だったり不思議だったりする短篇5作品。どうも僕は、本多孝好さんの文章を読んでいると村上春樹の文体に似ているのが気になってしまって集中できなかった。今回はお薦めエントリーではない。

村上春樹のあの書き方は彼の圧倒的な知識量と後光があってこそ、初めて僕等は身を任せて酔っ払う事ができる代物。素人がお経を唱えてもありがたみが全然無いのと同じ理由で、ひたすら回りくどい言い回しが鼻につく。

そして話がどれも強引だ。作者が表現したいものを露骨に表現しすぎている。だから登場人物がどれも個性的になりすぎるし、セリフも説明が多くなる。うまい作家ならもっと間接的に伝えてくる、空模様や登場人物の食事のメニューを通じて読者にメッセージを伝えてくる。そういう小説が僕は読みたい。

でも第16回小説推理新人賞受賞作なんかもあるので、単に僕の好みにあわなかっただけの話なのだろう。(あと、まじめな話新人賞とかは今後ののびしろも考慮して与えているのだとも思う)
人の文章を僕なんかの文章で悪く言うのもなんだけど、とにかく好みにあわなかった。そいうこともあるみたいです。

★☆☆☆☆

そこに山があるからではない! 読書感想「神々の山嶺」

8月 26th, 2009 admin

神々の山嶺〈上〉 (集英社文庫)
夢枕 獏
集英社
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神々の山嶺〈下〉 (集英社文庫)
夢枕 獏
集英社
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あなたの好きな小説を読ませてくださいシリーズの第7弾ぐらい。
今回は学生時代の友人の推薦本。司馬遼太郎好きの彼だからこれも面白いんだろうなと思ったのだがそれ以上に面白かった。

山に登る理由が「そこに山があるから」で許されるのは小学生まで。その答えを孤独な登攀者、羽生丈二にぜひ学んで欲しい。

あらすじ

エベレスト登頂に失敗し、友人も失った失意の中、主人公が偶然ネパールの中古品店でみつけた旧式のコダック製カメラをめぐるお話

感想

この本は2つの点でお得でした。ひとつは山岳小説として8000m級の山を登るということがどういうことか疑似体験させてくれたということ、もうひとつは羽生丈二という生き方を突き付けてられ、考えさせられたという点です。

まず、山岳小説としての話ですが、これは凄い。吐息が凍る程寒く、一歩進ごとに喘がなくてはならないほど酸素の薄い状態の山で、凍った岸壁を登っていくとか恐い!恐すぎる(しかも雪崩、落石がきたら終了)。読んでいて足の指先がしもやけの時のようにむずむずします。
ニュースでは「高齢者がエベレスト登頂!」とかって明るい報道ばっかりなので、21世紀の装備なら体力自慢の人なら行けるとかって思ってた自分の貧弱な想像力を呪いました。「気力」と「運」。意外にもこの二つの形の無いものこそエベレスト登頂の鍵のようです。

そして、羽生丈二という生き方。彼の少ないセリフは一つ一つが今の僕のような中途半端な生き方を深く傷つけてくれます。すべての餓えた狼の気持ちを忘れた男子に贈りたい。(草食男子?反吐がでるね)

まとめ

面白い!今まで他の小説に贈ってしまった「面白い」という言葉を半分ぐらい取り返したい(特にハリーポッターあたりから)ってぐらいよかった。
面白くないという人がいるのなら逆に興味があるってぐらいなので誉めるのはここまでにしておきます。

登山と読書の違いはいきなり最高峰に挑戦できるかどうかってところ。まあ黙って読んでみようじゃありませんか。そこに物語があるんですから

★★★★★(満点)