枠の中の幸せ 読書感想「完全教祖マニュアル」

7月 15th, 2010 admin Posted in 書評 | 1 Comment »

完全教祖マニュアル (ちくま新書)
架神 恭介 辰巳 一世
筑摩書房
売り上げランキング: 11264

宗教とはビジネスであり、その目的は人々をハッピーにすることであるという視点から書かれた宗教解説本。
単に宗教をビジネスと割り切ったことで、宗教の運営が通常の組織運営とあまり変わらないものと感じられるようになっており、教祖になりたいと思っておらずとも日常生活にも十分に活用できる内容になっている。また、自分で積極的に活用せずとも、本書で紹介されるテクニックを使って、私たちを取り込もうとする宗教や一般企業、各種組織はいくらでもあるため、それらからの防衛手段としても多くの人に読んでもらいたいと思う内容でした。

以下、特に僕が面白いと思った部分を紹介します。

教義を簡略化しよう

浄土教は「南無阿弥陀仏と唱えれば極楽に行って成仏できる」というシンプルな教えが基本となっているそうです。普通に考えると「そんなアホな」という感じがしますが、たしかにこれぐらいシンプルでないと大衆にはわかってもらいにくいし、「そんな馬鹿な」と思うようなことでも大衆は信じてしまうのですね。(食べるだけでやせる!とか、身に着けるだけで幸運が!とか)

不安を煽ろう

例えばキリスト教などは「信じていないと地獄におちる」といって布教をしています。これは凄いテクニックで、もしこれが本当ならいま健康や家計などで困っていない人ですら不安になります。日常生活で言うとファブリーズや洗剤のCMなんかでこれが使われてるなと感じます。「あなたのその絨毯!見えないばい菌でいっぱいですよ」ってね。そんなに有害じゃねーだろ

反社会的な教えを作ろう

新興宗教とはつねに反社会的であるという話です。あのキリスト教ですら当時は超反社会的な宗教でした。まあ世の中そういうもんですよね、ロックとかパンクとか、基本的に反社会的なものに人はあこがれるもんです

義務を与えよう

お祈りをしようとか、食べていいものを制限しようとかですね。一見面倒だし、宗教のマイナス部分にも見えますが実はそうではなく、逆に信者としてはそういうものがあるからこそ幸せを感じられるし、より信者同士の絆を深められるということです。確かになんでも苦労があるから面白いのだし、楽しそうに自分の会社のヘンな規則を自慢する人たちっていっぱいいますよね。割と当たり前のことなんですがいざ自分が教祖になったらできるだけ自由な組織にしたくなりそうなので、これは特に覚えておきたいです。
(ゆとり教育の失敗とかもこういうのがなかったのが原因なんじゃないのと思う)

人々の家を回ろう

100人の家を回って全員に断られるとしても勧誘のために家をまわろうという話です。それでは意味がないように思えますが、いつか訪問した人が困ったときに思い出してもらえる。そういう意味があるんだそうです。これには僕は全然気がついていなくて驚きました。

まとめ

あー面白かった。ふざけた文体を使って著者のまじめな宗教観が伝えられている作品でした。それだけに最後の「感謝の手紙」は蛇足だったかな。本エントリーの最初にも書きましたが、こういう攻め方で僕らの心のすきまを狙う人たちもいるという意味でできるだけ多くの人に読んでもらいたいと思いました。

★★★★★(満点)

One Response to “枠の中の幸せ 読書感想「完全教祖マニュアル」”

  1. 完全教祖マニュアル面白そうです。宗教の目的は人々をハッピーにすることであればいいのですがビジネス優先が多い昨今です。