充実の一冊 読書感想「細雪」
1月 21st, 2009 admin Posted in 書評 | No Comments »
「多分あなたは好きでないが・・・」
という前置きで勧めてもらった本。いくら好きでないといっても文庫本なら読みきれると思ってamazonで買ってみると900ページを超える大作で驚きました。今になって商品ページを見てみると確かに厚さ4cmと書いてあります。しかしながら、次からamazonで本を買うときは厚さに注意しようなんて思わせない素晴らしい一冊でした。
話の面白さはもちろんなのですが、物語の中心となる美人四姉妹を通じて昭和初期の生活や、行事、風俗を学ぶことができるのがお得です。結婚はもちろん、花見、旅行、蛍狩、外国旅行などの描写から現代の僕等には想像もできないような常識や考え方を体験することができました。
特に僕が興味を惹かれたのは登場人物同士で交換される手紙でした。電話や自動車があたりまえでない時代なので、登場人物らは大事なことがあると大体手紙を書くのであるが、これが皆とてもうまい(あたりまえだが)。相手を尊重し、手前を謙遜し、かといって卑下しすぎることなく自分の本心の本心を相手に文章で伝えるという技術の素晴らしさに僕は何度も読み返してしまいました。
感想(以下ネタばれあり)
まず、妙子がゆるせん。雪子の縁談がやっと、やっと、やっと決まりそうになったというのに「妊娠した」なんて言い出して!こいつはいつまで雪子や幸子、そして貞之助に迷惑をかけるんだと!現代なら妹ができちゃった結婚してるぐらいのことはどうってことはないが、物語も後半ですっかり良家育ち気分になっていた僕は雪子が結婚できずに終わるかとほんとうに焦った。しかし妙子は物語を通して大病だの恋人の死だの水害で死にそうになるだので最後は自業自得とはいえ有馬送りにさえるなどして本当に大変だったなと思う。
んで一番好きなのは賢く、大きな愛で三姉妹を見守る貞之助。雪子はもっと彼を尊重しろ!あともっと評価されていいのは「お春どん」。不潔なところもあるけれど、蒔岡家の女中として女中以上の働きをした彼女のお見合いの成功を祈りたい。
まとめ
特に大事件が起こったりする話ではないので上巻の真ん中までは退屈だったけど、そこからは一気に全員に感情移入してしまい読む手が止まらなくなってしまった。さっそく他の谷崎作品に手を伸ばしてみたいと思う。
★★★★★(満点)

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